
口が悪すぎます。
新規アニメ化作品の初回を観たものに順次悪口…備忘録を付けていくという企画。あくまで“初回の”感想であり、作品そのものの感想でないという事をお忘れなく。評価と文字数には負の相関があるよ!人間失格だね!え?タコピー?観ないよ!ど頭にあんなおどろおどろしく注意事項出る作品!ジャンプラでもうお腹いっぱいだよ!みんなアニメ観て同じ気持ちになればいいよ!
- [B-]△雨と君と/[新][漫画]
- https://amekimi-anime.com/
- なるほど、それで藤さん傘持ってなかったのか。原作を余白を上手く埋めた冒頭部が秀逸。その他の場面も4ページ漫画のストーリーのボリューム不足を補うためにかなり頑張っている印象だが、ちょっと頑張り過ぎて会話の間が悪く、原作の緩い空気感は出ているが、ショート漫画らしいテンポの良さが失われている。ただこれは原作の空気系の側面を強調するかコメディドラマの側面を協調するかという解釈の問題で、好みの問題だろう。作画の質は高く、人物は勿論、たぬきがとても可愛い。さすが「アニマル総作画監督」というニッチな役職を立てているだけのことはある。初回はそんなたぬきの見せ場の多い構成になっていて、シャワーシーンと入浴シーンのコンボで終わるラストなど実にあざとい(?)。あと藤さん、トースターはバルミューダ使ってるんですね。お洒落。
- [K]異世界黙示録マイノグーラ~破滅の文明で始める世界征服~/[新][なろう系]
- https://mynoghra-anime.com/
- 毎期80作品近いアニメーションが公開され続ける昨今、視聴者に目を止めてもらうべく、各作品、初回は特に趣向を凝らす中、本作は原作小説をコピp…忠実に再現。コミカライズ版は、非常に画力が高く、魅力的なキャラクター造形は勿論、世界観を盛り上げる小物や自然物の描写も上手く、クソなろうには勿体な…原作の魅力を2倍にも3倍にも高める高クオリティのコミカライズだったが、アニメではそんな小細工は不要と、あらゆるデザインを簡素化したミニマルスタイルを徹底。原作小説の一言一句、出来る限りそのまま視聴者に届けたいという、原作ファーストの姿勢を貫き、一見雑に見える作画も「絵の良し悪しで原作の魅力は失われない」という製作者の強いメッセージ性を感じる。そんな本作のハイライトは、何といってもエンドロール。監督、絵コンテ・演出、作画監督、原画、オープニングアニメーション絵コンテ・演出、エンディングアニメーション絵コンテ・演出を柳瀬雄之ひとりが手掛けるという、正に、(クソアニメ)職人の魂が込められた逸品である。
- [K]×うたごえはミルフィーユ/[新][企画物]
- https://utamille.com/anime/
- 好きな歌を歌っていい感じの青春を過ごしたいウタは、コミュ障をこじらせたあまり、日めくりカレンダー(六曜付き)を持ち歩き、軽音部の部室前をうろつく不審者として有名になっていた。今日もいつものように部室前で珍獣扱いされていたウタだが、見知らぬ先輩に声を掛けられるのだった。話を聞いてみると、彼女は軽音部以外で“歌える部活の部長”をしているらしい。そんな彼女にホイホイついていくとそこは“アカペラ部”だった……みたいな初回。アイドルものを中心に、ガールズグループものアニメが完全に飽和している昨今、こんなにつまらない新作アニメが出現することが脅威的。20分強、コミュ障、というか頭のネジのはずれた姫体質のネガティブ陰キャ女が、学友に音楽療法を活用したカウンセリングを受けている様をノーカットで垂れ流しにしたような脚本と演出に感動すら覚えた。端的に言えば『ラブライブ!』(2013)シリーズを極限まで水で薄めた“踊らないラブライブ!”。支離滅裂で山も谷もないストーリーに、公式YouTubeチャンネル登録者の約2万人の皆様は満足できていますか?できていればいいんですけど。あと、主人公の声優がまあまあの棒なので、そういうのが好きな人にはオススメです、多分。
- [D]△陰陽廻天 Re:バース/[新][オリジナル]
- https://onmyo-kaiten.com/
- 夢落ち、転生、死に戻りと、かなりバタバタした構成の初回。脳筋ヤンキーと無属性超正統派ヒロインを始めとした古色蒼然としたキャラ設定から注意を逸らす為か、物語の舞台と時代がポンポン飛んで、構成が無駄に複雑。これが必要だったかどうかは最後まで観て判断すべきだが、そもそも動画メディアのエンタメ作品(しかもオリジナル)には複雑な筋書きや緻密な伏線はいらない。だってわからない(考える時間がない)から。しかも主人公は無敗(※死んでも負けを認めないから負けない、という小学生理論)のヤンキーでしょう?凝ったストーリーラインとは相性が悪すぎるよ…そもそもこれ、主人公はいつの人なの?昭和?平成?学ランヤンキーとチーマーが族車を駆って覇権を争う世紀末覇王伝説なの? なにかひとつでも納得できるものがあれば良かったんだけど、なにひとつ無かった。あ、あった。ロボ(式神と怨人)のデザインは個性的で良かったです。
- [B]▲薫る花は凛と咲く/[新][WEB漫画]
- https://kaoruhana-anime.com/
- 底辺都立に通う主人公・凛太郎が、家業のケーキ屋の手伝い中に、店内でスイーツを爆食する少女を見つけ、あまりの食いっぷりに呆然と眺めていると、それに気づいた少女は慌てふてめいて逃げるように店を後にする。長身で威圧感のある風貌にコンプレックスを抱く主人公は「また怖がらせてしまった」と自己嫌悪に陥る。しかし翌日、少女・薫子が来店し、いきなり飛び出してしまった非礼を詫びたいという。話を聞いてみると、彼女はこの店の常連で、凛太郎の事も前から知っていたらしい。互いに自己紹介し、薫子はケーキを買って帰ることに。駅まで送るという凛太郎の申し出を断った薫子は、案の定、帰り道で、凛太郎に因縁のあるヤンキーに絡まれてしまうが、間一髪のところで薫子の危機を察知した凛太郎に救われるのだった。翌日、昨日の衝撃的な体験で良く寝付けなかった凛太郎は仕方なしに朝早く登校し、教室の窓から隣のお嬢様女子高をのほうを何の気なしに眺めると、そこには昨日であった薫子の姿があるのだった……という話。古典的なロミジュリものだが、キャラ設定が今どきっぽい。ヤンキーなのは見た目だけだったり、圧倒的なヒロインのあざとさだったり、受動的な主人公像だったり。そして何よりも作画は抜群に良く、ヒロインがとにかく可愛らしく描かれている。もっと言ってしまえば、ヒロインを愛でる為だけの作品で、それ以上でもそれ以下でもないという印象。ストーリーは平凡で、主人公の、見た目が怖いのを気にしながら、金髪にピアス4つもつけて「お前、本当は気にしてないだろ」という、適当なキャラデザからは作者の性癖が滲み出る。そもそも、(金髪とかピアスとか除いたら)うどの大木といった見た目で怖そうには見えない。また、薫子を暴漢から助けるシーンも、すぐに助けに入らずに、自分が好意的な評価をされているのを確認してから助けるというのは、控えめに言ってゲスい。ただ、繰り返しになるが、作画がとにかく素晴らしいので、原作ファンと、作画オタなら存分に楽しめる作品。
- [B+]○ガチアクタ/[新][漫画]
- https://gachiakuta-anime.com/
- 大量消費と潔癖症が極まった上流階級の出すゴミを違法に漁って日銭を稼ぐ主人公・ルドは、亡父の犯した罪やその風貌のせいで彼の暮らすスラムのコミュニティからさえも差別を受けていた。しかもある日、恩人であり育ての親でもあるレグドが何者かに殺され、その罪を着せらてたルドはスラムのその先の“奈落”と呼ばれる大穴に落とされてしまう。運よく死ななかった主人公だったが、“奈落”の底で見たのは、ゴミ溜めの中で蠢く巨大な化物の姿だった……という話。これでもかと降りかかる主人公の苦境が物語の舞台設定と一緒にテンポ良く描かれる。マガジン漫画らしく仄かに薫るヤンキー臭は気になるが、舞台設定の面白さと先の気になる展開が魅力的。作画もボンズらしい濃い味付けで品質が高い。なお、初回観ただけでは原作者の言う「グラフィティデザインを取り入れることでより面白く」なっているかはよくわかりませんでした。
- [K]神椿市建設中。/[新][企画物]
- https://kamitsubaki-anime.jp/
- 地上波放送に先駆けて劇場公開されたエピソードの前半分。話タイトルには「前編」とつき、公式にも“EPISODE 0”とされている。神椿市が突如“ブラックアウト”と呼ばれる未曾有の災害により崩壊。災害孤児となった主人公、化歩(かふ)は、同じ被災者のエリカに引き取られる。それから7年、“フラグメント”なる新たなエネルギーを得て、市は驚異的なスピードで復興しつつあった。しかしある日、化歩の里親のエリカが“テセラクター”と呼ばれる怪物に襲われ命を落とす。目の前でエリカを殺された化歩はその時、歌声でテセラクターを消滅させる“魔女の娘”の力に覚醒する。自分の歌声にそんな力あることの意味について、化歩は、災害の爪痕が色濃く残る神椿市の街を逍遥しつつ思いを巡らせるのだった……本来の初回のど真ん中でぶった切った感じで、エピソードの谷間で終わってしまう、初回としては中途半端で最悪な終わり方。これは何としても前後編とせずにまとめて観てもらうべきだろう。地上波は仕方がないとしても少なくとも配信版はまとめて1話としてほうがいい。作品の雰囲気は、『エヴァ』シリーズからセカイ系の物語やデザインに影響を受けつつ、20年近く前の初音ミクブーム初期の頃に流行した曲の世界観と、10年くらい前にソシャゲが確立した“謎の力に覚醒した主人公が世界の命運をかけ侵略者相手にバディをガチャ召喚して戦う”みたいな世界観をミックスしたポストアポカリプスものという感じで、その頃の界隈の熱さが忘れられないオッサンに刺さりそうではある。
- [A]○カラオケ行こ!/夢中さ、きみに。/[新][漫画]
- https://karaoke-muchusa.com/
- 学校の合唱部の部長を務める中三男子、聡実は、合唱コンクールでブラック企業(ヤクザ)社員(組員)の狂児に目を付けられて、カラオケのコーチをする羽目になる……ヤクザ仲間がヤマハに行ったなら、お前は島村楽器行けよ、などと野暮なツッコミはしてはいけない。ブラック企業とか言い繕っていながら秒でヤクザであることを白状してしまうスピード感や“三代目米津玄師”などの語彙センスが抜群で、台詞の掛け合いが面白い。ラリーが多めの会話や、キャラや舞台の設定に、どこか落語のような雰囲気がある。“カラオケ大会で最下位になると組長の入れ墨の練習台にされる”というエピソードが、落語の「たいこ腹(幇間腹)」を思わせるあたり、作者はまあまあの落語好きかも知れない。ヤクザと中学生をカラオケで繋ぐというユニークな設定が、単なる出落ちネタにせず、メインのふたりが教師と生徒役を交互に切り替えながら物語を進めるギミックとして生きているのも上手い。狂児はシンプルなフィクションヤクザだが、聡実は、狂児が纏うヤクザらしい暴力的な雰囲気にあっという間に慣れて、飄々とチャーハンを頼む一方で、変声期という思春期の体の変化に人並に悩むというアンバランスさが面白い。作画もきっちりと仕上がっており、絵の演技力も高い。あとどうでもいいが、このテーマの作品をハチワレ声変わり問題で揺れる『ちいかわ』の動画工房が作っているという所が、個人的にはツボではある。
- [D+]×気絶勇者と暗殺姫/[新][漫画]
- https://kizetsuyusha-anime.com/
- 女性耐性ゼロで妄想癖のあるコミュ障勇者に突如モテ期到来。パーティーを組んだ三人の美女が勇者のハートを狙う、恋のクエストが始まった、と思いきや、ハートはハートでもお命頂戴的な意味だった!(但し勇者は気づいていない模様)……という話。ラーメン頼んだらラーメンが出てきた、って感じの初回だが、視聴者を振り落とす超展開か、エッジの効いた設定を全部死に筋にしてテンプレ話に収束する、みたいな作品が多い中で、逆に目立つくらい普通な作品。ジャンルはファンタジーラブコメになるのだろうか。笑いの方向性は、台詞回しで笑いを取るより、シチュエーションや登場人物のリアクション芸で笑いを取る感じだと思うが、本作の天丼ネタ、シャイが極まって女性に迫られると頭が爆発して気絶するという、勇者の顔芸がツボに嵌らなかった。またヒロイン達のスケバン的なノリとクセの強いキャラデザがかなり人を選ぶ印象も。予想通りの内容だが、期待通りとはいかなかった。
- [B]クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-/[新][WEB漫画]
- https://clevatess.com/
- 初回は1時間スペシャル。世界4大魔獣王の一角、クレバデスが人属の勇者達の討伐隊を退け、返す刀で一国を滅ぼした際に拾った人属の赤子を、酔狂で育てることにしたのだが、その赤子というのは……という話。正に超王道ハイ・ファンタジーといった感じで、人属(ジンゾク。所謂、ヒトと亜人を合わせたような括り)の種族設定や世界観などが結構作り込まれており、初回が1時間SPという尺の長さも生かして、そのあたりの説明パートも含め上手く舞台のセットアップが出来た初回。所謂、俺TSUEEE系の魔王ものでもあり、勇者一行を全滅させ、国をひとつ潰すという蛮行は、主人公の振る舞いとしては致命傷になりかねないが、ヘイト管理が巧みで、魔ではあるが悪ではないという立ち位置を示せている。また、魔王であるが故の非常識な振る舞いを上手く笑いや可愛げといった息抜き要素につなげており、そのタイミングも上手い。作画の面では回想シーンのタッチを変えたり、独特のざらつきのある映像表現で漫画的(紙的)な味わいを出していたり、神作画とまではいかないが、頑張って描いている印象。アクションシーンでは魔獣王がちゃんと走るし、兵器や城塞などの描写もしっかりしている。全体として完成度が高い。
- [D]ゲーセン少女と異文化交流/[新][WEB漫画]
- https://gacen-girl-anime.com/
- イギリスから引っ越してきたばかりの金髪少女(13)がひとりでふらっと立ち寄ったゲーセンでバイトの男子大学生(18)にお気に入りキャラのぬいぐるみを「ハッピーバレンタイン!」と、もらったことで懐かれてしまう……という話。かわいいかわいくない以前に、まず「鳥肌級にキモい…」という感情が芽生えてしまった。ヒロインがまだ日本に慣れていないという設定がキモいとか、未成年がひとりでゲーセンに来る設定がキモいとか、クレーンゲームに3時間も張り付いているのを放置しているのがキモいとか、13歳という設定が「中学生ですから大丈夫」という作者の全然だいじょばない発想が透けて見えてキモいとか、設定上は中学生だが、ヒロインの言動が小学生、なんなら年齢1ケタにしか見えないのがキモいとか、プライズ一個で落とせるチョロさがキモいとか、中学生と交換ノートをしようという発想がキモいとか、隅から隅までキモい。キモすぎてキモいがゲシュタルト崩壊してきたよ。お前ら『カードキャプターさくら』(1998)か。作画は悪くない。キモいのを除けば登場人物も可愛らしく描けている。ちなみに、作中のゲーセンの太鼓の達人のゲーム画面で、本作と同じくノーマッドが制作した『邪神ちゃんドロップキック』(2018)シリーズのキャラクターがカメオ出演している。こういう小ネタは好き。
- [D+]公女殿下の家庭教師/[新][なろう系]
- https://koujodenka-anime.com/
- ナチュラル・ボーン・ロリコン魔法士の主人公が公務員試験に落ちたのをきっかけに大貴族令嬢の家庭教師になることになり、国境の長いトンネルを抜けると雪国であった的展開で訪れた先で、早くもロリ系美少女ふたりに懐かれてお得意の魔法を披露しキャッキャウフフする……みたいな話。主人公が執拗なほどいいひととして描かれた結果、主人公に全く味がなくなっている。そんな主人公が息をするように少女をデレさせるという、かなり気持ちの悪い展開が連続し、一体何を見せられているのだろうかという気持ちになった。読者の願望を投影しているのだと言えばその通りなのだが、にしてもあからさますぎるよ。露出狂くらいあからさまだよ。脚本はラノベ原作らしく説明台詞が多く冗長なわりに粗が目立ち、ヒロインの描写もテンプレがキツい。いくらドジっ娘メイドでも、流石に1話に2回もすっ転んで主人公に抱きかかえられるというのはあざといを通り越してしつこい。作画は並。目立った瑕疵はないものの、ヒロインの学力を把握する為、筆記試験をするくだりで、20問の短答式の解答用紙を返却しながら「特に論文が素晴らしかったです」って台詞には笑ってしまった。論文とは。
- [B]サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと/[新][なろう系]
- https://silentwitch.net/
- コミュ障が極まり、若くして世界で唯一の無詠唱魔法の使い手となった主人公が、ひょんなことから学園生活を送るはめになった話。通称“ぼっち・ざ・ういっち”。なろう系アニメには珍しく、転生したり追放されたりイキり厨二病がハーレム作ったりしません。もうこれだけで「神作では?!」と思っとしまうのは頭バカになってるかもしれない。“コミュ障”や“無詠唱魔法”を始め、作品のネタを拾い出すと、ありがちな設定ばかりではあるものの、その組み合わせが面白く、なるほどと思させる上手さがある。キャラ設定はテンプレではあるが魅力的で、コミュ障こじらせてキョドる主人公などはとてもかわいく描かれている。作画も抜群で、スケールの大きい魔法演出は本作の見所の一つになりそう。演出面では劇伴の使い方が素晴らしい。今期の新作なろう系では頭ひとつ抜けた完成度。
- [A]◎CITY THE ANIMATION/[新][漫画]
- https://city-the-animation.com/
- 地上からロング突起した岩に刺さって石化した鳥とは全く関係ない変人揃いのCITYの日常。作画については、もう誰が見ても凄いとわかるトンデモクオリティなのでいう事はないが、単なる小ネタの寄せ集めになりがちな日常系で、ましてや初回からこれだけ登場人物が多いと、散漫とした印象になってしまいそうなのを、それぞれのエピソード同士を登場人物やアイテムを少しづつ重ねることで作品全体の一体感や流れを生み、しっかり群像劇としてまとめている構成も上手い。笑いの要素も、普通は絵面の面白さに、台詞回しと声優の演技力で笑いを取るものなのだが、本作ではアニメーション(動き)でも狙った笑いを取ってくるところにも技術力の高さを感じる。ただそういった画面の情報量の多さがやや煩く感じる場面もあったが。あと、OPとEDの文字を全部、原作者のあらゐけいいちが書いてるのもすごい。OPはまだしもEDもって…こんなんジブリ映画でしか見たことないよ。
- [D]ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される/[新][なろう系]
- https://zutaboro-anime.com/
- 冒頭、主人公の結婚式のシーンから始まる。「姉にプロポーズした人の花嫁になる」ーー物語は遡り、貧しい男爵家の次女として生まれ、その赤髪を厭われ、屋敷の使用人以下の扱いを受ける主人公・マリー。「でも大丈夫、明日は私の誕生日。きっといい日になるはずだからーー」(中略)かくして、未来の公爵夫人となるための女磨きの日々が始まるのだった……という初回。“シンデレラ・ストーリー”というか、もう、シンデレラ・ストーリーにさえなっていない。シンデレラは、シンデレラが前妻の娘だから虐げられていたのであって、簡単に言えば貴族の跡目争いの物語なんだ。単純明快で普遍的な物語だからこそ形を変えつつ語り継がれてきた訳で、今作はなに?主人公のマリーが虐められているのは長身だがら?髪が赤いから?なんだその理由。ならこの世界では何で長身(の女性)はいけないのか、赤髪は嫌われるのかが描かれないとダメなんだよ。容姿についても、本人と両親が主人公(自分)を醜い醜い言ってるだけで、全然そんな風に見えないんだわ。まずキャラデザがそれほど醜く描かれていないし(せいぜい少し身だしなみが悪いくらい)、求婚した公爵は勿論、何なら、お姉ちゃんすぐ死ぬまでも主人公の見た目を好ましく思っている描写があるくらい。じゃあ何で両親にそこまで憎まれているのか?そこの描写がない。主人公は次女で、美しい姉がいるというのであれば、姉を優先するのは分かるが、妹をわざわざ蔑ろにする必要がない。何なら姉に何かあった場合に備え、貴族の令嬢としての常識は身に付けさせるべきで、実際に作中ではそういう事態に陥る。とにかくありとあらゆる設定が不自然で、どうしてそんなことをしているのかが理解できないし、納得できる説明もない。そして何よりも理解できないのが、この作品の作画が悪くない、なんなら結構良いという事だ。
- [D]△Turkey!/[新][オリジナル]
- https://turkey-project.com/
- 高校ボウリング部の北信越大会で惜しくも敗退した主人公たち5人は、今後の部活の方向性で対立しエンジョイ勢とガチ勢とで意見はかみ合わず、崩壊寸前に陥る。今の5人で部活を続けたい部長の麻衣は、勝つよりも楽しむ事を優先する部の方針に愛想をつかして退部するとい言い出した利奈の説得を試みる。そんな麻衣の執拗な説得に、利奈は「ボウリングで勝ったら」と1ゲーム勝負を持ち掛ける。勝負は利奈の優勢。「バカにしてる」と帰ろうとする利奈。諦め切れない麻衣がボウリングの球を投げようとしたその時、突如ボールが光りだし、麻衣は、彼女を助けようとした部員4人もろともどこかへと吸い込まれ…気がついたらそこは、戦国時代だった!……という話。工藤~…またやってくれたな~……マジで期待を裏切ってくるなぁお前。勿論、悪い意味でだよ。展開としては『全修。』(2025)パターンではあるんだけど、こっちは納得感がないから、ただただ頭くるだけなんだよ。ボウリングが題材って珍しいし、しかもオリジナルってことで、ヒロインが苦手な巻き込み系だったのも我慢して観たってのに、転生なろうかよ。ボウリングの球が甲府地方で見る丸石道祖神につながるみたいな話か?『mono』(2025)で観たよ。あれは山梨か。隣の県だから長野にもあるんか、知らんけど。もうなんでもいいや。
- [C]△追放者食堂へようこそ!/[新][なろう系]
- https://tsuihosha-shokudo.com/
- クエスト失敗の責任を取らされる形で追放された主人公(料理人:LV99/100)が、流れついた地方都市で開店準備中に奴隷として売られていた少女と一緒に居抜きで食堂を始めました……という話。おおよそ原作通りの展開だが、アニメ版は、追放なろうのアニメ化では常套手段の、追放エピソードを膨らませて伏線にしつつ冒頭に見せ場を用意する形になっている。無難な立ち上がりだが、期待していた方向性とは少し違ったかも知れない。アニメでは主人公と最初のヒロインキャラの奴隷少女との出会いのドラマにフォーカスを当てていたが、個人的に本作の強みと感じたのが、テンプレストーリーの中に時々光るギャグの語彙力とか、ツッコミのキレ味とかの、笑いの要素だったので、そっちを伸ばす演出を期待していたのだが…とはいえアニメがそれほど悪かったという訳ではなく、作画もしっかりしているし、脚本も、期待したものとはちょっと違ってはいたものの、追放会議のシーンが、単なるパワハラ会議ではなく、主人公の見せ場として機能しているのなんかは上手い。
- [D-]強くてニューサーガ/[新][なろう系]
- https://tsuyosaga-pr.com/
- 説明台詞で始まるアニメはクソアニメの法則。本作は90秒の長台詞で始まります。これは間違いない。その後、主人公が1周目のノーマルエンドを迎えるまでが、初回の役3分の1を使って結構たっぷりと描かれるのだが、仲間が次々と倒れていくとか言われてもなぁ…全員知らんし。何ならどちらが正義か悪かもわからんから、主人公に肩入れして観るのもなあ…知らんロープレのラスダン攻略の実況動画観ちゃった感じ?そんなん。プレイヤーと視聴者の温度差が大きすぎるのよ。しかも一応魔王討伐成功したんでしょ?おめでとう!~完~
- [B+]△出禁のモグラ/[新][漫画]
- https://dekinnomogura.com/
- パリピが落とした広辞苑が頭に直撃して瀕死の男を、助けようとしたら全力疾走で逃げられそうになったが何とか追いついて話を聞いてみると自称仙人のヤバい人だった……という話。こうまとめる意味わからんね。でも面白い。『鬼灯の冷徹』は情報量の多い原作漫画をすっきりと整理した感じのアニメ化だったが、本作は原作の混沌とした作風そのままの雰囲気でアニメ化している。物がごちゃごちゃと描き込まれた画面や、その絵に負けじと喋りまくる登場人物の台詞の量が、すごく江口夏実作品っぽい。正直、予想以上の原作再現度で、見た目以上に作画が大変そうだが頑張って欲しい。
- [C-]▲桃源暗鬼/[新][漫画]
- https://tougenanki-anime.com/
- ミリオタイキリ退学クソヤンキーの主人公・四季は、ある日突如、謎のおっさんに命を狙われる。危機を察知し駆けつけた養父の助けで逃亡、その道中で、実は、四季が昔話「桃太郎」の“鬼”の血を引いており、襲ってきたのは“桃太郎”の子孫で、自らもまた桃太郎の子孫だという。なんとか廃工場に逃げ込むも追手の桃太郎に追いつかれ、激しい戦いの中で四季は鬼の力を覚醒する。何とか追手を退けるが、育ての親父は命を落としてしまうのだった……という話。バトル物の少年漫画ではよくある導入だが、なんで主人公がこんなにイキってるのかわからず感情移入し難い。ケンカして高校退学になって自室でヘラヘラ笑って養父の悪態を吐くとか、自らの出生の秘密(自分は桃太郎に討伐された鬼の生き残りであり、養父はその仇ともいえる桃太郎の一族)を知っていた、もしくは全く何も知らず実父と思っていたならまだしも、天涯孤独の身となった自分を赤子の頃から引き取って育ててくれた恩人に対しての態度ではない。当然、主人公が初めから人間として完成している必要はないが、初回は登場人物が受ける信賞必罰のアンバランスさが悪い意味で気になった。黒い細菌を操る桃太郎と血を操る鬼のバトルアクションなど、作画は悪くないだけに少し残念。同クールに冒頭の設定が似すぎな『ガチアクタ』があるのも逆風。
- [D]9-nine- Ruler’s Crown/[新][PCゲーム]
- https://nine-anime.marv.jp/
- 何かよくわからん昭和の香り漂うバトルアニメ始まったと思ったらこれは劇中作で、萌え興しを狙ってコケたアニメという設定らしい。そんな爆死アニメを何とか盛り上げようと、今回のアニメと自治体のコラボを企画した会社のご令嬢自らコスプレしてイベントを開催するが、最中に発生した地震によりイベントは中止、イベント会場となった神社に奉納されていた神器が割れるというアクシデントに見舞われる。多少の混乱はあったもののその場を収めて事なきを得たのだが、以来、街では奇妙な事件が起こり始める。勝手に移動する髪飾り、女生徒の石化事件、主人公の頭の中に語り掛ける謎の声、そしてついには主人公たちの通う学校で放火事件が発生する……まあ、何というか、初回としては、普通? 引きは強いが、そこに至るまでがあまり面白くない。そもそも、ど頭に(劇中設定で)コケたアニメを持ってくるってどうなんだろう?まあ、言う程面白くなさそうではないんだけど(それはそれで設定的にどうなのかな、とも思う)。やぱり初回の冒頭は「始まったな!」って感じが欲しい。「始まった…のか?」みたいのは観ていて躓く。その後のキャラの顔見世を兼ねた日常パートも退屈。一応、ギャルゲーのヒロインの登場シーンなのだから、視聴者を一目惚れさせてやる、くらいのあざとさはあっても罰は当たらないと思う。作画は悪くはないのだが、もしかしたら和泉つばすの絵ってアニメ向きではないかも知れないとか思ったり。スチル絵(イベントCG)では映えるのだが、動かすとコッテリとしたデザインが動画には(少なくとも現代劇には)合わないかもしれない。何よりも男キャラの制服の着崩し方と私服が壊滅的にダサい。ブレザーを腕まくりする男子学生とか…暑ければブレザーは脱いだら良いと思うよ。けどよく見たら先生も腕まくりしてるし、女制服も袖を太目にロールアップしたようなデザインなので、和泉つばすの手癖なのかもしれない。とはいえ、このファッションセンスが死んでる感じがギャルゲーっぽくて逆に萌える、という説もある。
- [A]○ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット/[新][WEB漫画]
- https://nyailivi.com/
- 津波の如く大群で襲い掛かる猫の破壊力よ。「二千X年、世界は猫に支配された」という千葉繁の『北斗の拳』(1984-87)の名台詞のオマージュに始まり、「猫の入れて入れてサイン…!窓に爪を立てないで!」「猫は液体なんですか!?」「こんなことをしたら猫に嫌われる!…ダメだ!これ以上は俺の心が持たん!」「猫バンバン良し!エンジンを掛けろ!」「猫と生きていける世界が戻るまで…必ず生き延びてみせるッ!」「この世の猫に害成すものは…俺が殺すッ!」と、猫好きなら一度は声に出して読みたい日本語のオンパレード。猫並みに手が早いバイオレンスツンデレ系女子と、猫とツンデレの生態を早口で解説する記憶喪失の大男の逃避行はどこへ向かうのか、次回以降も目が離せない。
- [D]×ネクロノミ子のコズミックホラーショウ/[新][オリジナル]
- https://anime-necronomico.help/
- 初回は落ち目ライバーの主人公が胡散臭いメールをきっかけに邪神との世界を賭けたデス・ゲームに巻き込まれる端緒が描かれる。主人公の置かれた苦境、デス・ゲームの設定、それに挑む主人公の動機など、まず語るべきエピソードが、主人公をはじめとした主要登場人物を紹介しつつ描かれ、最後は次回の繋ぎのシーンで終わる。極彩色のアートワークに反して、非常に堅実な作り。セルルックで描かれる日常パートと、3DCGモデリングで描かれるVRゲームパートと、演出に幅があるのは面白いのだが、所謂“フルダイブ型VRゲーム”として描かれるデス・ゲームの世界が、CGはチープで、動きにスピード感がなく、演出もダサく、ひとことで言ってしまえばクソゲーすぎる。この味のしない3Dマリオのようなゲーム世界を、「現実と見紛う幻の世界」と謳うには無理がある。しかもゲームの進行役と称して邪神のひとりがゲーム内に登場するのだが、こいつが2Dキャラなもんだから違和感がすごい。また、オリジナル作品の初回にしては登場人物が多く、それらのキャラクター全員にゲーム内で役割を作っているせいで全てのキャラの印象が薄くなってしまっている。とにかく、このデス・ゲームのパートの出来が悪く、初回全体の足をかなり引っ張っている。あと、クトゥルフ的な何かを殆ど感じなかったのも残念。これはクトゥルフ神話に対する解釈違いかも知れないが。
- [A]光が死んだ夏/[新][WEB漫画]
- https://hikanatsu-anime.com/
- 2020年夏。西日本の山間の集落に暮らす幼馴染のよしきと光。いつもと同じ学校の帰り道。近所の商店でアイスを分け合って食べる。今年の初めに山で一週間、行方不明になった光だったが、無事に帰ってくるも、行方不明になっていた一週間のことは何も覚えてはいなかった。それから半年、よしきにはどうしても光に聞きたいことがあった。「……お前、やっぱ光ちゃうやろ」 正体を現す光だった“ナニカ”。しかしよしきは“ナニカ”と入れ替わったヒカルとの日常を受け入れる事にするのだった。一見、日常を取り戻したかに見えたのだが、ある日、ヒカルの姿を見て恐怖に怯えていた村の老婆が異常な姿で死んでいるのが発見される……日本の夏のぴったりな肌にへばりつくようなじっとりとした怖さの民俗ホラーサスペンスで、初回は主人公のよしきとヒカルの邂逅と、そのヒカルとの日常が描かれるのだが、単なる日常風景が実に薄気味悪く描かれている。長めに尺を使いながらじわじわと来る恐怖を描き、ラストの急展開で視聴者を次回に引き付ける構成も上手い。作画も素晴らしく、貴重なホラー枠として期待大。
- [A]フードコートで、また明日。/[新][WEB漫画]
- https://www.foodcourtjk-anime.com/
- 見た目は優等生の和田と見た目だけギャルの山本。別々の高校に通うふたりだが、帰り道、毎日のようにイオンモール名取のフードコートで合流する。そんなふたりのたわいもない日常を切り取った、無観客JK漫才アニメ。今期、一番の当たり作品面かもしれない。どこが面白いの?と言われるとなかなか難しいのだが、コントよりも漫才が好きで、『あそびあそばせ』(2018)、『女子高生の無駄づかい』(2019)あたりが好きだったなら刺さるはず。また、作画が本当に良く、どの場面で一時停止しても絵に全く乱れがない。基本、フードコートから一歩も出ないし、というか殆ど並んで座っているだけなのでそりゃそうなのだが、実際には、アニメの作画ってカロリー高そうな原作の方が良かったりするから不思議。
- [D-]フェルマーの料理/[新][漫画]
- https://www.fermat-anime.com/
- とあるエリート校に数学の特待生として通う主人公は、数学オリンピックの試験中に謎の自意識が爆発し試験は白紙回答で教師陣激おこ。特待生の特典である学食無料を失い学食でバイトをすることに。そこで作った激うまナポリタンがきっかけで謎のサイコパス料理人に付きまとわれる羽目になる……みたいな話? 登場人物が主人公含めて全員キモさがかなりキツくて観るに堪えない。数学要素皆無だし。作画も酷いが、料理の作画だけは良かった。初回はとにかく意味不明な展開で、何故か試験を途中棄権したとか、何故かナポリタンが上手く作れたとか、何故ワンマンクソ学長が支配する私学に通うのかとか、主人公が何故そんなことをしたのか/できるのかが示されておらず気持ちが悪い。唯一、ギリ納得が出来るのは、数学の特待生として奨学金を受ける主人公が、成果を期待された数学オリンピックを身勝手な理由で棄権した上に、挽回のチャンスと与えられ数学コンテストの出場も拒否した結果、退学になるという流れだけで、保護者抜きでこの決定が下されるという点は少年漫画的ではあるものの、決定自体は寛恕すべきであると思えるのだが、作中では無慈悲な行いとして描かれている点がまた意味不明である。そもそも主人公は、数学の各種大会に出場することは拒否するが成績は抜群で、彼の将来設計である、東大卒で大企業に就職し安定した高収入を得て親孝行をする、を実現するだけなら、雨の中で理事長に土下座してまで処分撤回を嘆願してまでこの私学にしがみつく必要はなく、転校するなり大検取るなるすればよろしい。奨学金の即時返還命令については、まあ…民事で争えば猶予を勝ち取ることは可能じゃないすか?知らんけど。ていうか、主人公、超天才設定のはずなのに、給付型じゃないのね、奨学金…
- [D+]△ブスに花束を。/[新][漫画]
- https://busunihanatabawo.com/
- クラスでは目立たない私がちょっと早く登校してお花のお世話をしているところを、クラスの王子様に見つかっちゃって恥ずかしっっ(〃ノωノ) それからというもの何だが王子様との距離が近づいちゃって…これってもしかして…孔明の罠…? みたいな初回。昭和の少女漫画をオマージュしたパロディギャグという事前認識だったが思ったよりもラブコメだった。演出のテンポや起伏が穏やかでギャグとしては物足りない。かといってラブコメにしては華がないし、ちょっと中途半端な出来。作画も怪しく、最近の高校のトイレってフルスペックのウォシュレット完備なの?とか、ソシャゲのグラのクオリティ低すぎない?とか、ちょいちょい引っかかる。期待を下回る低調な出だし。
- [D]ふたりソロキャンプ/[新][漫画]
- https://2solocamp-anime.com/
- オッサンがソロキャンプに行ったら、爆乳尻だしJDに弟子入り志願されたでござるの巻。キャラ設定がキモいとかそういうのはひとまず置いておいて、料理作監入れてこれかー…。さすがはひっくり返った虫ダンスのSynergySP。本作の見所の一つのキャンプ飯からして初回でこの作画というのはいかにも厳しい。原作漫画は、背景や小物が、基本、実写取り込みの雑コラ漫画だが、代わりに人物をしっかり描き、実写と漫画の中間のような味わいの作品なので、どちらかといえば実写向きの作品だと思うが、本作の実写ドラマ版は、細すぎる森崎ウィンと棒すぎる本田望結が主演のコントのような作品で、どちらがマシかと問われると……まあまあ困る。そんな初回。
- [C+]ホテル・インヒューマンズ/[新][WEB漫画]
- https://hotel-inhumans.com/
- 長年仕えてきた組織に切り捨てられ、命を狙われた殺し屋が最後に頼ったのは、郊外にぽつんと建つ一軒のホテル。そこは殺し屋専用のホテルで、客の依頼には決してNOと言わないコンシェルジュがいた。そして、瀕死で辿り着いた殺し屋がコンシェルジュに依頼したのは幼い頃に生き別れた妹を探して欲しいというものだった。ホテルに迫る追手、そして明かされる妹の行方は……という話。原作最初のエピソードをベースに、アクションシーンを増やし、映像作品としてより映える初回にアレンジされている。確かに見栄え的には正解だが、ゲストキャラの殺し屋が格好良すぎて、本作の主人公が誰だかわかりにくくなっているようにも感じる。更に、オリジナルで追加したアクションシーンの出来が微妙で、工業団地でカーチェイスというのも設定が古い。決して悪くはないのだが、本作にプラスだったかといえば…オリジナルのアクションシーンを原作通りの日常シーンにして、全体の作画が良くなるのであればマイナスだし、変わらないのであれば、より初回のエピソードがドラマチックになってはいるのでプラマイゼロかなぁ…そんな感じ。ただ、エンディングのバックで今回のゲストのエピローグの絵が付いていたり、今回の名場面が流れたりする演出は好き。
- [B+]▲まったく最近の探偵ときたら/[新][漫画]
- https://mattan-anime.com/
- 初回は昔の天才、今はただのおっさん探偵の老化と戦う日常と、そこに突如闖入したJKギャル(と猫と元ヤクザ)の出会いを描く初回。Aパート、Bパートを明確に分割した2話構成で、しかも各パートに扉絵が付く『サザエさん』(1969-)を思わせる演出など、古典的な演出、古臭いあるあるネタなど、令和世代どころか平成世代も置いていく勢いの小ネタのオンパレード。古畑任三郎を顔コピするJKって真白ちゃんおいくつよ…そんなネタ満載の本編に負けずとOPもEDもノリノリの変な曲。派手さはないが、細部まで神経の通ったギャグアニメ。え?ネタが古くて意味が解らない?これだから最近の若いモンは…(老害)
- [B]帝乃三姉妹は案外、チョロい。/[新][漫画]
- https://mikadono.family/
- 母子家庭で育った主人公の優は、大女優だった母が亡くなったことをきっかけに、埼玉栄高校的なエリート校に転校し、母の知人であった帝乃家に預けられることになる。そこで彼は転校先の高校で三帝と呼ばれる文・武・芸それぞれに秀でた少女たちと同居することになるのだが……という話。流れだけ聞くとマガジンによくある同居系ハーレムラブコメのようだが、原作者が日本を代表する生粋のショタ漫画家なので実質的なヒロインは主人公。そんなヒロイン(男子)が亡母の遺言である「幸せな家族」を作るために新天地で健気に頑張る姿が本作の見所だろう。作画もパリッとしていて華があり、ヒロイン(男子)も、とてもかわいいのだが、原作者のショタ魂が炸裂した原作漫画の第一話、渾身の恥ずかし固め(まんぐりがえし)のカット(空手の練習試合で主人公が転がされるカット)がアニメではちょっと逃げていたのが残念。まあ、今のご時世、致し方なしですが。
- [D]水属性の魔法使い/[新][なろう系]
- https://mizuzokusei-anime.com/
- 転生なろうおなじみの取説神の部屋から唐突に物語は始まる。「あなたは事故にあって亡くなりました」「ええ。覚えています。あなたは神ですか?」「いいえ、私は神ではありません」「私は転生先で何をすればいいのでしょう?」「好きなように生きてください」…なんだこの英語の教科書みたいな会話は。蓬莱純か。まあともかく、主人公の「スローライフを送りたい」という望みはガン無視で人里離れた山奥のポツンと一軒家を与えられ、実質サバイバル生活を強いられる主人公(ちなみに原作では「人の来ない場所で、スローライフを送りたい」と意味の解らないことを言い出すのだが、これには天使もさぞ困っただろう)。寂しさで気が触れたかのようにエンドレスに独り言をつぶやきながら、火熾ししたり、狩りをしたり、魔法の訓練をしたり、目的もなくただ時間を浪費するだけの日々。まあ本人は「異世界はいろんなことがあるなぁ」と異世界ぼっち生活をエンジョイしているようなので幸いです。そんで最後に主人公に“不老”チートがあることが明かされて初回はおしまい。感想?ないですね。虚無ですよ虚無。書きたいことを適当に書き散らかした小説版や、シンプルに画力が低い漫画版と比べ、非常にすっきりと纏まっており作画も悪くない。特にOPとEDは色使いがきれいで一見の価値あり。だが、原作に合った雑味や臭味が濾過された結果、全く味のしない初回になってしまっている。アニメ制作陣の努力は感じるものの、「一体この原作の何が面白いのだろう…」と悩みながら作っている感じがする。そんな初回。
- [K]勇者パーティーを追放された白魔導師、Sランク冒険者に拾われる ~この白魔導師が規格外すぎる~/[新][なろう系]
- https://tsuiho-shiromadoshi.com/
- 一見、普通のクソアニメだが、原作と見(読み)比べるとこのアニメ作品がいかに狂気に満ちているかがわかる。 【原作】「ロイド。お前にはパーティーを抜けてもらう」と、勇者のお決まりの第一声から始まる。人里離れた山の中で魔法の修練を積み、一年前に街へ出てきて以来、勇者パーティに白魔導士として参加していた主人公だったが、その働きは全く評価されず、あまつさえ他のメンバーからも最低、不愉快と罵られた挙句、有り金をすべて巻き上げられて追放されてしまう。ロイドが街の広場で途方に暮れていると少女に声をかけられる。話を聞いてみると彼女は冒険者で、明日までに白魔導士を見つけなくてはいけないらしい。自分が白魔導士で、しかもフリーであることを告げると、「ついてきて」と強引に冒険者ギルドに連れていかれパーティに勧誘される。当然、難色を示す他のメンバー(と主人公)。「分かったわよ!」と、彼らを納得させるため主人公に試験を課すことになり、そこで主人公の驚異的な力が明らかにされる……という話。 【アニメ】「ロイド。お前にはこのパーティーを抜けてもらう」と、勇者のお決まりの第一声から始まる。時は遡り、廃墟となった街で呆然と立ち尽くす幼い頃の主人公。深い後悔の念を抱きつつ主人公を抱きしめる女性冒険者。彼の保護者となり、師匠となることを決めた彼女は、徹底したスパルタ教育を課し、主人公に魔法を叩き込む。炎、水、風、氷、そして治癒魔法。更にはサバイバル技術と共に、様々な補助魔法の使い方をも学んでいく。そんな日々を積み重ねる中、ふと手にした絵草子に描かれた街への憧れ募らせた主人公は、ある日、師匠である女魔導士に黙って街に出ることにする。そこで彼は例の勇者パーティーに加わることになるのだが、それらも師匠の計画の内だった。勇者パーティの白魔導士として力を尽くした主人公だったが、一年後、パーティーリーダーの勇者から突然追放を告げられてしまう。新たなパーティーを探すも中々見つからずに途方に暮れる主人公だったが、偶然、白魔導士を探していた冒険者の少女に目を付けられて有無を言わせず連れていかれるのだった……という話。 原作は、所謂追放なろうのテンプレで、普通に面白くない。一方、アニメ版は、原作の前日譚にあたる内容で、原作冒頭につながる筋書になっている。流れ的には転生なろうのテンプレをハイ・ファンタジーに調整した感じで、普通に面白くない。で、何が怖いかって、これ、アニメオリジナルシナリオなんだよ。原作の順序を入れ換えてる、とかじゃなくて。「原作、追放なろうのテンプレでクソつまんねえから、転生なろうっぽくしたぜ!」ってどういうことだよ!怖いよ! 確かになろう系って全部同じに見えるから、何か特色を出していかなければならないと、物語の起の部分に手を加えることは多いんだけど、なろう系テンプレに手を加えてなろう系テンプレにするって発想が怖いんだよ! 更にアニメオリジナル要素で、作品の舞台は典型的なナーロッパを舞台にしているにも係らず、主人公が街に出るきっかけになった本を和綴じにしたり、魔物討伐の凱旋パレードで勇者ご一行が人力車に乗ってたり、街中では絵草子屋が啖呵売してたり、なんなんだこの脈絡のない和要素は! 他にも、魔法の訓練中に主人公が師匠に頭から水をぶっかけられるシーンで、最後に盥が落ちてくる演出とか、つまらないとかサムいとか古いとか通り越して「駄作なろうも僕たちの手にかかれば面白要素満載の神作になっちゃうよ?へっへっへー」みたいな勘違いが透けて見えて本当に怖い。え?作画?良いわけないよ、こんな作品。背景なんて落書きみたいだし、勇者がゲームのバグみたいな動きをするアクションシーンなんて、これでも専任のコンテ・演出担当が付いてるのって逆にすごいよ!
- [K]×ラノベアニメ/[新][企画物]
- https://lightnovel-anime.com/
- 放送に先駆けて公開されていた一部作品の第一話は所謂、縦長ショート動画形式だったのだが、結局、地上波では『Re:ゼロ』をソリッドシチュエーションスリラーにセルフリメイクした『Jack the Reaper』、半年前にタイムリープしたので全力で失恋エンドを回避します『傷心タイムリープ』、妹を振りやがった不届き者は俺が振る『ファムファタル育成計画』、妄想タイムリープ『マリー・アントワネットに転生したので全力でギロチンを回避します』の短尺激安3DCG人形劇を4本詰め合わせただけで、映像が縦長だったりはしなかった。いいですか?ゴミを詰め合わせて福袋ってシール貼ってもゴミ袋にしかなりませんよ? 「スマホで5分」をコンセプトに掲げるのであれば地上波は捨てるべきだし、縦長ショートアニメに挑戦するのなら16:9は捨てるべきだろう(地上波版と公式YouTube版を見比べたが、基本的にはワイドで作られた映像の中央を9:16で切り抜き、エフェクト等を微調整したものを配信用としているようだ)。全てが中途半端で、本作に関わるありとあらゆる人間の金と時間を無駄に浪費させる駄作。個々の作品の内容について、たった数分の映像で良し悪しを語るのは不可能だが、「なんで4本中3本がタイムリープ物なんだよ」と「“新しい物語を創り出す”ってどこが新しんだよ、ゴリゴリのなろう系じゃねーか」という事だけは言える。あと映像は普通にゴミ。ただし、4作品の中で『ファムファタル育成計画』だけは、“デブ男が、愛する妹を振った男への復讐のため、痩せて美少女になって惚れさせてこっ酷く振ってやる!”というトンチキなコンセプトがユニークで面白いが、映像的にはギャグパートで頭が巨大化する演出が気持ち悪いなど、最も拒絶感が強い。
注1:TV放送のある新規アニメ化作品について作品タイトル前の記号は期待度を表す。記号の意味は競馬新聞の予想印に準拠し「◎」は本命(今期の覇権候補筆頭)、「〇」は対抗(十分に覇権を狙える)、「▲」は単穴(覇権を狙える潜在能力はある)、「△」は連下(話題作になりそう)、「×」は注意(その他の注目作)。
注2:作品タイトル前の[ ]で括られた部分は初回視聴後の直感的な評価。 S>A>B>C>D>(越えられない壁)>K の5段階に + と – のおまけポイント。ざっくり言うと、Cより上は面白かったし、Cより下は面白くなかった。そんな感じ。